尺度 -日常の話-
頬を撫でる風がいくらか冷気を孕み始めた頃
下宿先の隣の一軒家が解体された
以前より風通しがよくなった「そこ」は僕にとっての非日常があった
夏が終わった
乾燥した風が金木犀の香りを運びはじめた頃
「そこ」は僕の日常の一部になりはじめていた
ある夫婦が来訪するまでは
金木犀の甘く妖しい香りがしなくなった
冷気が鼻を薄紅色に染め上げた頃
「そこ」はその夫婦の日常となり、僕にとっての非日常に戻った
白い雪が頬をかすめる
冬が始まった
下宿先の隣の一軒家が解体された
以前より風通しがよくなった「そこ」は僕にとっての非日常があった
夏が終わった
乾燥した風が金木犀の香りを運びはじめた頃
「そこ」は僕の日常の一部になりはじめていた
ある夫婦が来訪するまでは
金木犀の甘く妖しい香りがしなくなった
冷気が鼻を薄紅色に染め上げた頃
「そこ」はその夫婦の日常となり、僕にとっての非日常に戻った
白い雪が頬をかすめる
冬が始まった