ポエム
[TOP]
尺度 -日常の話-
頬を撫でる風がいくらか冷気を孕み始めた頃
下宿先の隣の一軒家が解体された
以前より風通しがよくなった「そこ」は僕にとっての非日常があった
夏が終わった

乾燥した風が金木犀の香りを運びはじめた頃
「そこ」は僕の日常の一部になりはじめていた
ある夫婦が来訪するまでは
金木犀の甘く妖しい香りがしなくなった

冷気が鼻を薄紅色に染め上げた頃
「そこ」はその夫婦の日常となり、僕にとっての非日常に戻った
白い雪が頬をかすめる
冬が始まった
20/12/25 14:44更新 / あく



談話室



■作者メッセージ
日常の進み方にはそれぞれの尺度があり、僕の場合のそれがこの詩の中にあることなのです

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c