ポエム
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狸のキャロル
狸のキャロル
狸のキャロルは歌わない
彼は若い頃から歌を口にしてこなかった 
理由を聞いても多分答えてはくれない

狸のキャロルは痩せた爺さんだ
ふわふわな毛の上からでも
キャロルのあばらの数を数えられるくらいに

狸のキャロルの巣がどこにあるのか誰も知らない
夜になると山の奥の方に行ってしまう

キャロルは月を信じていない
多分キャロルは自分も信じていない

狸のキャロルは友達がいない
昔は明るいやつだったが
一度きりの恋が悲しい終わりを迎え
彼を静かなやつに変えていった

今日もカラスのお告げが夜を知らせ
山の斜面を滑るように夜の帳が下りてくる
フクロウが目覚めるまでのひとときに
キャロルは山の奥へ歩いていく
誰にも会わないように山の奥へ

キャロルの爺さんは孤独に夜を歩いて渡る
思い出の星を探しながら
25/01/31 23:16更新 / adieuadieu



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