今日も蟻達はせっせと運ぶ
自惚れていた
出来ると思い込んでいた
世界は広い、圧倒的だ
こうして呟いている瞬間にも
新しいアイデアは生まれ
要らないものは排除され
世界は勝手にまわる
別に世界を変えたいだなんて
大それた事は思っていない
ふとした時に
微塵子だと思っていたのに
微塵子よりもさらに小さいのが私だと
蟻に名前がないように
わたしにも名前などないのだと
気づいてしまうのだ
道端でみつけた
ぐちゃっと潰された、亀の死骸
明日はわたしが潰されるかも
ぐちゃっと潰された、人の死骸
車なのか、隕石なのか、圧力なのか
ただ、人が潰されるだけなんだと
ただ、それだけのことなんだと
弱いなぁ
本当に弱いなぁと
不意に、嬉しくなっちゃってね
弱いから
人の強さを感じられるんだって
弱いから
誰かの温もりを温かく感じられるんだって
そうだ、一つ
呼んでもいいかい?