ポエム
[TOP]
昼休みの教室
誰もいない昼休みの教室に一人取り残される。
中庭や廊下から聞こえる話し声や縄跳びのジャンプ台の音にどうしようもなく虚しくなる。
掃除用具入れのロッカーに閉じこもりながら、誰かを待つ。
教室に人が入って来ないかこまめに確認しながら、キーボードを打ち続ける。
周りを見回しても誰もいない教室。
閉塞感を感じながら寂寥感に苛まれる。
この物語につける名を探しながら誰かの帰りを待つ。
隣の席の椅子に律儀に揃えて置かれた上履きを眺める。
鬱憤を晴らすための詩を考える。
秒針の音に耳を澄ます。
時の流れを早く感じる、遅く感じる。
この文章を書く上では時の流れは早く感じるのに
誰かを待つ上では不思議と遅く感じる。
階段を駆け上がる音が聞こえる。その音に胸は早鐘を打つ。
気のせいだった、と安堵する。待つ人ではないと寂しくなる。
1人で何をしているのか分からなくなる。
劣等感と危機感を常に感じる。
鼻歌を緊張気味に奏で始める。足音に敏感になる。
離れてみて意外と1人は寂しいと実感する。1人は気が楽だと実感する。
誰かをひたすら待ち続ける。教室のドアをちらちら見ながら待つ。
ドアが勢いよく開かれる音がする。
タブレットを急いで、隠す。後ろを振り返る。
笑っている、待ち続けた貴方がそこにいる。
24/12/23 16:00更新 / ゆきまる



談話室

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c