初夏に芽吹いてその身に鈴を纏い
皐月の風に揺られて音色奏でる
さぁ夏の訪れを共に唄おうか
緑に染まったこの大地で

あぁ、そこの道を通りゆく旅人よ
細やかながら私は唄っております

この唄はあなたに聞こえておりますか？
私を見てあなたは何を思いますか？

陽の光で萌黄色に輝く鈴
稲穂のように揺れて舞い踊る
あなたにとって一輪の道草
それでも私はこの鈴と共に神楽舞う

初夏に芽吹いてその身に鈴を纏い
皐月の風に揺られて音色奏でる
さぁ夏の訪れを共に唄おうか
緑に染まったこの大地で

あぁ、そこの道を通りゆく旅人よ
季節が移ろいでいることに気づいてますか

願わくばこの唄を聞いてくださいな
願わくばこの身を見て欲しい

花のように煌びやかでなくとも
木々のように力強くなくとも
だけど私はありのままの姿で
夏の訪れの神楽舞い続ける

私は皐月を生きる一輪の道草
夏の訪れを唄うためにある命であれど
踊り子集い、鈴が陽に照らされて
萌黄に光る草むらは綺麗でしょう？

この世の草花はいずれ色褪せる定め
だから私もいつか色褪せていくのでしょう
だけどその色褪せていくその日まで
この神楽をこの身の鈴と共に舞いましょう

夏が来れば萌黄色の鈴は
小麦色に色を染めていく
あぁ、これで私の役目は終わり
鈴と共に地に伏して眠りにつこう

初夏に芽吹いてその身に鈴を纏い
皐月の風に揺られて音色奏でる
さよならこの道を通りゆく旅人
次の皐月の時にまた会いましょう

■作者メッセージ
お久しぶりです。7tch1*です。

早速ですが、コバンソウという植物を、皆様はご存知でしょうか。

私の住んでる地域にコバンソウが群生しているのですが、小学生の頃に見た目が神楽の鈴に似てるなと思ってたことを思い出しながら書いたポエムです。

告知ですが、次回作はTwitterでも告知してますが、アリスロッテ幻奏の作品となります。
よろしくお願いいたします。