君はいなくなった。
「どうして」と問いかけてみた。
君は答えてくれなかった。
黒い長方形、小さな窓から君の顔が見えた。
君は僕を見てくれなかった。
ずっと目を閉じていた。
幸せそうな顔をしている。
それが、ずっと不思議だった。
笑う理由を問いかけた。
やっぱり答えなかった。
君は、僕がいなくても幸せでいられる。
そう思うと安心した。
でも、複雑だ。
君はもう、隣にいてはくれない。
戻ってくる気もない。
そう分かってしまったから。

君が隣にいないと嫌だった。
どこへいってしまったのだろう。
君を追わななければ、と思った。
君と同じ方法で。
君と同じ時間に。
自分勝手だろうか。
でも、君以外に居場所はなかったんだよ。
考えるだけで息が苦しくなる。
霞む灰色の視界の中に、君がいた。
君は優しく微笑んでいた。
なんだ。
やっぱり、喜んでくれるじゃない。
僕は笑いながら、泣いた。
そして、

■作者メッセージ
I see you,I seek you.