鏡の国に迷い込んだアリスは
不思議かつ現実的な光景を目の当たりにする
彼女は　「人間」を見た


今日も　あたしはあたし
皆から愛される　幸せなあたし
だからって　我が儘放題の自己中さんじゃない
ちゃんとマナーを守って　社会にも貢献しようと努力する
だからこそ愛されるあたし

何時だって笑顔は大事　自然と付いてくるのよ
だって　幸せだから
不幸だなんて思った事は無い
それなりの暮らしは出来てるし
外見も　取り分け美人と云う訳では無いけれど
人並みに整って　何時もの「あたし」

だけど　今　あたしの目の前に居るのは
化物
怪物
何て酷いのかしら
別に皺が酷いとか　見た目の話じゃない
そいつからは　何だか暗くて黒くて重たい何かを感じる
「何か」は　何なのか分からない
でも　今あたしの目に写っているのは
あたしじゃない
皆から愛されて　笑顔を絶さない
幸せなあたしは何処にも居ない
鏡に写るあたしは　本当のあたし
猫を被り続けた
誰からも愛されず　笑顔が浮かぶ気配すら無い
不幸せな　真のあたし

人間って　醜い生き物よ
だって　自分を犠牲にして
自分という魔物と必死に闘い
もがく事しか出来ないんだもの

まあ　あたし達もその仲間なのだけれどね

鏡は　全てを教えてくれる