争いの国へ
ビジネスのために命懸けで出かけた邦人を
すっかり頭の中から取っ払って
皆が目の前にある快楽にばかり
躍起になって追いかけている

ご当地の美味しいグルメを
芸能人が食してご満悦だとか
お菓子の工場を見学して
最新の機械でお菓子が
出来上がるのを感心したりだとか
日本から派遣されたビジネスマンが
身の危険を感じながら日々の生活を送り
ついにはゲリラに捕らえられ
世にも恐ろしい思いに怯えながら
殺されていった事など
殆どの日本人は忘れてしまっている
メディアからも人の口からものぼらずに
まるで同じ日本人であるはずの彼らは
初めから存在しなかったかのように

彼らは殺された
異国のゲリラや政府ではなく
彼らの故郷に

日本と云う国に見捨てられ
今は記憶の隅に
頭の内にある白紙の中に埋もれている