ポエム
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親父
煙草の匂いの背中を追いかけた
幼い瞳で追いかけた
それは大きく 逞しい背中だった
親父の胸に向かって投げた白球
日が暮れるまで投げた白球
二人 日焼けした顔で笑っていた
そんな親父が旅立ったのは
7年前の暑い夏の日だった
突然 何も言わずに逝ってしまった
ただ日頃 親父が言っていたのは
俺のような男だけにはなるな!
俺が死んでも 俺の事は思い出すな!
そんな事できるはずがないだろう

あれから夢にも出て来なかったのに
昨夜 夢の中へやって来た
あの日の少年が 親父を追いかけていた
だけど また何も言わず いなくなった
あの日の少年が一人泣いていた
空には親父と飛ばしたシャボン玉
酒を飲めない親父だったから
二人 飲み明かし語る事もなく
遥か遠い空へと旅立っていった
ただ日頃 親父が言っていたのは
俺のような男だけにはなるな!
俺が死んでも 俺の事は思い出すな!
そんな事できるはずがないだろう
20/10/03 19:44更新 / Odagiri



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