ポエム
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独白
最初は小説ってこんなに簡単に、誰でも書いていいんだって思ったから。
いつも私を下に見て馬鹿にするクラスメイトが、お世辞だろうがなんだろうが、はじめて私を褒めたから。私の書いたものを面白いと言ったから。
そいつらと離れても、それでも書くのを辞めなかったのは、それにしがみついて、褒めて欲しいからだとずっと思っていた。
実際、評価されるのは嬉しい。
最高の一編をかけたことがないのが悔しい、でも、かけなければそれでいいとも思っていた。
 何となく上の空に書き連ねた文字は、きっと惰性でしかないと思っていた。
“惰性で書いたものは美しくない”
その通り。
突っかかっていた。
何かに情熱なんて持てない。
なら、これも全て惰性で書いたものだ。
なんてつまらないものなんだ。
妥協と惰性と承認欲求。
つまらない。つまらない。
でも書き連ねた。
そんなに褒められたいのか、家族に評価などされてないくせに。
同年代ではどうか知らないが、ネットに出れば、上手い人などいくらでも転がっていた。
評価など、されるはずがなかった。
ただ、キャラの人気にかこつけた駄文。
何が楽しいんだ。
悩みというほどのものでもない。
しがらみというほど大層な気持ちでもない。
胸に突っかかった小石が、ただ下に落ちていかなかっただけ。
だからこそ、その小石が落ちるのも容易かったのかもしれない。
気づきを得た。
腑に落ちた。
わだかまりが解けた。
この心情を表すのに、適切な言葉はない。
ただ、ひとつ。
ようやく答えが出た気がした。
私はとうに、創作とやらに魂を売っていたらしい。
好きやら、嫌いやら。
得意やら、苦手やら。
単純なもの全てを飛び越えていたそれに。
人生なんて言葉は不適切だ。

だから私は、今日も言葉を繋ぐ。
19/04/13 20:57更新 / ねーむれす



談話室



■作者メッセージ
タイトル通りです。
この気持ちを忘れないために。

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