悲しい花びら
その時、花びらが落ちたのだけれど、
私は納得いかなかった。
誰かが、勝手に触ったからかもしれない。
誰かが、いつもとは逆方向に花びらを撫でたのかもしれない。
心の中に、ぽっかり大きな空洞ができた、なんてよく言うけど、
今、私の中には、黒くて重い感情が充満している。
一緒に見てきた景色は?
最高に楽しいと思ったあの瞬間は?
美しいと、
大好きだと、
あなたを見つめた私は、
何だったのだろう。
あなたは、何か憶えているのだろうか。
その時、花びらが落ちたのだけれど、
私は納得いかなかった。