愛子

愛子はその名前が嫌いだった
愛ってなんだよと思っていた
まぁ確かに2人の愛から生まれた子どもだよ



「愛のある人に育って欲しい」



苦しめないで欲しい
優しくして欲しい
愛のある人間なんかになれるもんか
私は自己中心的な女だ


「いつかあなたも愛の意味がわかるわ」



今日も一日何をしたら良いかわからなかった
夢と現実の乖離
夕方ベットの上で孤独を感じた
誰にも傷つけられたくない
関係を持つのがめんどくさい
何をしたら良いか分からなくなっていた

それでも、愛子はまた今日も
夢の世界に行く
愛なんて、分からないままでいいよと

カタツムリの殻に閉じこもったままだ

だってさ、怖いんだもん
人の目が、気配が、言葉が、表情が
人ってさ、みんな自分が思うよりも全員嫌なやつなんだよそう思っていた方が楽だよ
そんな奴らに苦しめられたくないじゃん
誰か1人に拘って、自分の人生無駄にしたくないじゃん
でもさ、そうやって自分のことだけを毎日毎日考えていたらさ、何すれば良いのか…
何すれば良いのか分かんなくなっちゃったんだよ
でももういいんだよ
愛子はさ、愛なんて知らないまま消えてしまうから、それでいいんだよ
だってさ愛なんて後付けなんだよ綺麗事なんだよまぁそれで良いよ
本当は自分の体の真ん中、ここに愛があることはもう分かってるよ
今はまだ人が怖いから、気づかないふりして
しばらくこのままでいさせて欲しい