トレインの旅
そのトンネルの先には何がある?
手を伸ばしたら
その暗闇に飲み込まれていった
吸い込まれていった
心の水溜り
思いっきり蹴ってみる
一粒の水が
頭から降りかかってきた
でもこの深さは一体どこまで
何のために
何のために
何もかもを飲み込んで
大きく広がった
エンジンかかるまで
待っていてほしい
そうしたらきっと何か分かるから
でも
旅の途中でネジがひとつ飛んだ
だから、ずっと変な音がした
走り続けなよ
どんなに変な音でも
線路の上を
滑ってゆけ
トンネルの外
明るさに目が慣れる前に
列車は電子の小ささに粉々になって、
街に降った
人は言った
雪だ
雪を摘んで
握りつぶしてみた
体温で水になった
まだこれでいい
薄暗い灰色の街だって
何か意味がある