食べられない果実
食べられない果実
これが私の食べられない果実
どう手をつけていいか分かりません
私自身もきっと誰にも食べられない果実だった
だから生きてきた
このまま食べられないままなのかな
今手に握る果実は
見た目はとても赤く可愛らしい
中を破ると毒々しい赤が溢れ出た
指ですくってその赤を食べた
苦かった
やはり、私が長年逃げ続けたあの果実だった
私はそれを握って外に出た
そのまま思いきり川に投げた
案外すんなりと沈んでしまった
さよなら
私の苦い思い出よ
間違えることを許されなかったあの時代
もう私は間違えよう
誰かの間違いは気づかないふりしよう
あんなに怖い思いする必要はなかったのだ
右手の掌は
怒りの血で染まっていた