開眼
そして私は目覚めたのだった
朝は必ずコーヒーを飲み
1日仕事に行く
家に帰ってきて
ご飯を作って食べる
夜は必ず本を読み
そして私はまた目覚めるのだった
しかし、今までと変わったことがある
“あの人”が家に住み始めたのだ
朝は必ずコーヒーを飲めなくなり
1日仕事に行き
家に帰ってきて
謎の料理を作った
夜は必ずテレビを観て
そして私は目覚めないのであった
“あの人”は、私の隠す苦しみを大きくした
何故?
何故引き出してくるのだろうかと
謎の料理を作りながら考えるのであった
家という枠組みの中で
聞こえてくる悲鳴は
子どもの頃の私が叫んだ声だった
重なる
重なる
重なる
理不尽に怒る鶏の
柵を蹴って逃してあげれば
もう怒ることもなかっただろう
気づけば、私は鶏になっていた
必ず飛び立とうと思っていた