ポエム
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ラムネ
最終電車だ

喧騒もそこそこに窕ろになる

鈍色に光る鉄柱に肩を凭れさせる

外には夜の帳が降りている

ふとドアの外を眺める

まだ一面が黄土色に輝く摩天楼だ

ここに隕石でも怪獣でも颯爽と現れて叩き潰されたらどうなるのだろうか

僕は哀しむだろうか 喜ぶだろうか

欠伸を堪えてる

この暑さで喉がカラカラなので、屋台で買ったラムネを空ける

プシュッと、遠慮のない鳴き声が響く

続いてつっかえたビー玉がカランコロンと風鈴のような音を立てる

いいさ どうせ誰も気にしちゃいない 気にせず行こう

硝子で出来た硬い飲み口を唇に当て、グイッと呷る

その瞬間、弾ける味が舌に巡った

加爾基の抜けた爽やかな味 仄かな柑橘の臭い そして泡 泡 泡

もっと口を満たしたい欲求を敢えて我慢し、そのままゴクッと飲み込む

するとどうだろう 先程の泡という泡が乾いた喉になだれ込み、カラカラの身体に喝を入れてくるではないか

一瞬の嗚咽

そして脳に伝達される充足感

爪先にまで血液が巡るこの感覚!

最早これに遠慮はいらない ゴキュッゴキュッと、全ての炭酸を飲み干す

ああ……やんごとなきかな たまらない!

堪らず小さくかぁっと叫ぶ

たった150円の幸せだ

しかしこの時期、この季節でしか味わえない

だが夏はまだ明けそうにないから まだチャンスはあるのだ

ガタンゴトンと揺れる電車に身を任せる

こんなものだってまた幸せなのだ

ああ、眠たい








18/08/30 13:43更新 / カフカ



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