ポエム
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青い花
始まりの時に私に告げられた

か細い声で確かにこう言ったんだ

「憂鬱を吹き飛ばしに行こう」

そうやって溶けていった夢 醒めたまま融解しなかった

身長が伸びても髪が伸びて切っていっても届かなかった知将 無機質な藍の色

指切りげんまんで約束してくれるか

もう二度とあの日のようなことがないように

私を抱きしめてくれるか

氷点下まで冷えきったこの身躯を温めておくれ

太陽は毎日登っているのにまだ凍えそうなんだ

教科書に載っていたあの偉人も英傑も

私と同じ思いをどこかで抱いていたのか

懐中時計はくるくる回る

私の目もくるくる回る

刹那、冀望が喉から溢れ出たようだった

爪先伸ばして駆け出した

あの日の自分にごめんね それだけを伝えるために

自棄になって飛び出したあのスペクタクルの空

遥か彼方まで飛んでゆけ

白と黒で彩られた翼でどこまでも

雲を突き抜けて見えたあの眩い光

どうかしていたのは私だけなのか

遠く遠く成層圏を越えて宇宙まで

あの日星のような輝きの涙を集めていこう

今の私は無敵だ なんだって出来る

なんだって創り出せる

それと引き換えにしたっていいんだ

不可能を可能にして欲しいんだ

あの日夢の中に置き忘れた青い花

もう一度彼に触れていたいんだ

18/10/19 21:03更新 / カフカ



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