帰ってくるなり
冷たいフローリングに寝転んで
少し長めに息を吐きながら
なんてことはない天井とにらめっこ

１日を振り返りたくもないけど
多すぎる情報が端から押し寄せる
まるで懺悔をお勧めかのようである

疲れてる？
当たり前でしょう。
早めに寝る？
目を閉じれば簡単だけど。
お風呂でゆっくり？
勝手に湧いてくれれば今すぐに。
お腹空いてないの？
優先順位最下位なもんで。

自問自答しながらも視線は
なんてことない天井のままである

つまりなにもしたくないの

買ったばかりのオーディオから
ランダムに流れる
知ってる音色たち

知らない歌は聴きたくない
いつかどこかで誰かと聴いたなと
朧気に口ずさむ程度の
そんなかんじでいい
できれば洋楽でね
理解の及ぶ言葉に刺さりたくない

伸ばした手の先に
飼い猫の小さな頭をくすぐりながら

この世界で唯一無害な存在に
思いきり身を任せたい

そんな気分？
いまはね。

今日はどうとか
明日はどうとか
あいつもこいつも
いまはあっちいけ

懐かしい曲に少し
リズムを合わせながら
とばしてリピートして

もっと我が儘に？
そう。逆らわないの。

そんな気分？
いまはね。

明日はきっと
もう少し頑張れる？

うん、たぶんね。


自問自答は続くよどこまでも。

そんな夜である。

■作者メッセージ
なんもしたくないときは


なんもしなくていいよ。

でも考えちゃう。

それでいいよ！