ポエム
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おじいちゃんの草笛

もうずっとむかしのはなし


おじいちゃんとふたり

おさんぽだよと

幼いわたしは手をひかれ

鳩のたくさん棲む公園

古いベンチに腰掛けて

吹いてくれた草笛の

「おててつないで」


まねっこしたいと

もらった葉っぱはだんまりで

おじいちゃんの葉っぱは

楽しそうに歌ってた

足元の鳩も楽しそうに

クルクル歌ってた


それがとってもふしぎで

とってもここちよかった


会話なんて思い出せない

あの場所だってもう分からない


でもずっと残り続ける


おじいちゃんの草笛

「おててつないで」

鳩のエサ

大きなごつごつした手

抱っこじゃなくて

手を握られ歩いた道

歩幅を合わせて

ゆっくりゆっくり歩いてくれた


おじいちゃんの優しさは

いまもわたしのなかで

あったかくめぐっている
22/07/20 16:13更新 / 稲の花



談話室



■作者メッセージ
ふと、おじいちゃんの草笛が
聴こえてくる気がします

たぶん近くにきてくれたのかなと
嬉しくなります

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