ポエム
[TOP]
迷い子の星

分かたれた世界のその狭間

名前もなき束の間の空間で

迷い子の星は朝陽と出逢う


ただ与えようとし続ける
大きな存在と

ただ静かに見守り続ける
小さな存在は


運命の戯れに導かれ惹かれ合う


朝陽がその手を伸ばすとき

星は爛れ光を失うだろうことを

識った上でも


迷い子の星は嘆いた


やがて月が迎えにこよう

いつの日かこの身が朽ち果て

大地に降り立つとき

再び見えようと


小さな輝きは宵闇に紛れた

守れる筈のない約束を遺して



夜に生きるそのひとつ

漆黒の静寂の中でこそ

初めて身を焦がせる


遠い彼方のぬくもりを

淡く感じとることができる

そして反すことができる

母なる月光に

その答えを見出だせる


決して貴方には
届かなかったとしても



朝陽は星を探し続ける

星は宙に紛れ続ける

永遠に見つけられない

それが必定でなければならない


分かたれたふたつの世界

大いなる魂の灯

小さき夢の欠片


遠く離れた場所でこそ

互いに輝ける

その光の真意は

永久の蒼に溶けて

見果てぬ幻想となった

22/06/16 00:22更新 / 稲の花



談話室



■作者メッセージ
ひとつ前の詩の外伝、
とするにはやや大袈裟な気もしますが。

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c