ポエム
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夏の後ろ姿
頬をなでる風に
別れの言葉を感じて
少し足を止めてみる

夕暮れ時、滲むような色合い
遠い雲の、あの輪郭
金木犀、ほのかに
草影から、凛とした歌声

もういってしまったの
お礼の言葉も言えてないのに

せっかちな太陽
早起きだったね
そのくせいつも居残りしてた
長い長い一日

思い切り吸い込んでむせ返った
喉を焼くような空気
青々とした草木
気分屋がすぎる空
あんなに騒がしかった
蝉たちの声も

ぜんぶ
もう探しても見つからない

みんなつれていってしまったね

荷造りしてるの
いつも気が付かないの
いつまでも
いてくれるような気がして
あんなにうんざりしてたのに

去り際に魅せる
仄暗い雑木林の
ひぐらしは寂しさを残して

美しい後ろ姿
振り向きもしなかった

小さくなっていく足跡を
目を細めて確認すると
風は私を追い越した

またすぐ会えるんでしょう
静かに別れを告げて
家路を急いだ
21/10/05 21:13更新 / 稲の花



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