ポエム
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与えられた自由
彼は

自由がほしいと叫んだ

監視と支配から逃れ

思うまま走りたいと願った


そして突如与えられる自由

それは

重い荷物を下ろさせ

手枷足枷をほどき

檻や柵をも取り払った


望みは叶ったと
 
高揚する気持ちも束の間

その片隅に生まれる感情

不安だ

有り余る時間と身軽さが

ふいにとても恐ろしく思える

次第にその感情は

幸福感をみるみる覆い

期待感をじわじわ侵食し

やがて虚無感へと導いた

遂には途方に暮れ

動けずにいる自身を痛感し

一つの確信へと辿り着く



重い荷物を背負い

手枷足枷を繋ぎ直し

自ら檻の中へと戻っていった


だがその瞳には

小さな光が宿っていた



彼はなにを悟ったのだろうか


与えられる自由、とは。

22/02/03 19:55更新 / 稲の花



談話室



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