宝箱
あの日
泣きじゃくりながら
無理矢理引き剥がした
瘡蓋のようなものを
小さな箱に
乱暴に放り込んだ
抗う力を押さえ込んで
力一杯閉めた
鍵は『時間』という海に
投げ捨てた
その箱を
なるべく見えない所に
上手に隠して
でも時々
少し離れた所から眺めた
小さな箱
燃えていたり
光っていたり
声が聞こえたりした
ある日
『時間』と名乗る人が
訪ねてきて
鍵を返してくれた
『お仕事完了です』
とだけ言い残して
帰っていった
鍵を握り締め
あの箱に近寄ってみると
埃をかぶっていたけれど
とても静かだった
丁寧に開けてみると
中は綺麗に整頓され
温かい鼓動を感じた
宝箱になった
あの日
永遠に残ると思った傷痕は
ほんの少しの痣になって
今はもうすっかり馴染んでいる
『お仕事お疲れ様でした』
そうつぶやいて
美しい宝箱を
ゆっくり閉じて
再び鍵を閉めた
もう投げ捨てたりしない
心の少し奥
秘密の押し入れに
大切にしまっておこう
泣きじゃくりながら
無理矢理引き剥がした
瘡蓋のようなものを
小さな箱に
乱暴に放り込んだ
抗う力を押さえ込んで
力一杯閉めた
鍵は『時間』という海に
投げ捨てた
その箱を
なるべく見えない所に
上手に隠して
でも時々
少し離れた所から眺めた
小さな箱
燃えていたり
光っていたり
声が聞こえたりした
ある日
『時間』と名乗る人が
訪ねてきて
鍵を返してくれた
『お仕事完了です』
とだけ言い残して
帰っていった
鍵を握り締め
あの箱に近寄ってみると
埃をかぶっていたけれど
とても静かだった
丁寧に開けてみると
中は綺麗に整頓され
温かい鼓動を感じた
宝箱になった
あの日
永遠に残ると思った傷痕は
ほんの少しの痣になって
今はもうすっかり馴染んでいる
『お仕事お疲れ様でした』
そうつぶやいて
美しい宝箱を
ゆっくり閉じて
再び鍵を閉めた
もう投げ捨てたりしない
心の少し奥
秘密の押し入れに
大切にしまっておこう