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鏡に喋る俺
初デート前、
「別に、緊張してないし」
と鏡の人物に話しかける
170cmほどある、長細い鏡には
キッチリと整えた髪型と服装をした
別人がうつってる。

今朝から何度目だろうか。
大して崩れていない、
髪型や服装を直したのは。
鏡の人物が、あざ笑い、俺は返す。
「緊張してないって、言ってるだろ!」

まぶたを、無理やりあげる。
朝早くから、準備をしたのだ。
とても、まぶたが重そうだ。
「楽しみで、眠れなかった訳じゃないって、
何回も言ってるだろ!」
鏡の人物が、早朝から何度も言うので
俺は、少し怒ってしまった。

落ち着いて、深呼吸する。
目を閉じ、息を吐くと同時に目を開けた。

顔をあげ、目を見開き、鏡に対し
斜め45度で、鏡の人物を見る。
もし、この様子がビデオにでも取ってあったら
恥ずかしくて、見れないだろう。

だが、
「完璧だな」俺と鏡の人物の声が重なった。
その時には、睡眠不足も、緊張も吹き飛ばすほどの
自信に満ちていた。
「行ってこい!」
部屋に、俺一人の声が寂しく響く。
だが、鏡には、自信と笑顔に満ちた
俺がうつっていた。
19/09/18 20:04更新 /



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