死の宣告
1日目
その日突然、目の前に死神が現れて、自殺しようとしている僕に言ってきた。
君は3日以内に自殺すると。
突然 現れた死神に驚いて、僕は気絶していた。
起きたのは、病室のベットだった。
何度も自殺を試みたが、死神を思い出すたびに恐怖で体が動かなくなっていた。
その日の夕方、死神の言っていたことを、思い出した。僕は3日以内に自殺すると。
だから、その日の自殺はとりあえず諦めた。
アパートに帰ると、一通の手紙が届いていた。
それは僕が応募した、絵画コンテストの通知だった。
昔からの夢だった。プロの画家になることが。
ただ、誰にも認められてこなかった。
親にも世間からも、そんな寂しさが嫌で自殺を図ったのだ。
このコンテストに落ちていたなら僕はもう、絵画をやめなくてはならない。
そうなれば、もう僕の生きる理由はなかった。
封を開けるとき、自殺する時より心臓がばくばくしていた。
そこには、合格の文字が書いてあった。
2日目
昨日のことが信じられずに、封を何度も見返しては、ニヤニヤしていた。時には飛び跳ねたりもした。
ただそんな興奮はすぐに冷め、しばらく経ったら、夢中になって絵を描いていた。
描いていた。描いていた。描いていた。
気付いたら夜の7時になっていた。
手の筆も止まり、完全燃焼という言葉がぴったりだった。
達成感と、ひとつまみの喜び、小さじ一杯の疲労を含んだため息が一気に出てきた。
しかし、すぐに襲ってきたのは大量の後悔と絶望だけだった。
それは明後日には、自分は死んでいるという不安だった。
しかし、疲労には勝てず、倒れるように寝てしまった。
3日目
その日は早朝から何をしたらいいのか分からなかった。
何故だろう、2日前には死にたいと思っていたのに。
一昨日の通知で、完全に死ぬのが惜しくなってしまった。
まだ 生きたい。そう心から思った。
何をしたらいいのか分からず、でたらめに歩きまわっていた。
気付いたらそこは2日前に自殺しようとした場所だった。
そこで、思いのまま絵を描いた。かけたのは一枚だけだったが途端に、明日のことなんて考えずに、ただ絵を描いていたいと思った。
それから全力で走った。アパートまで全力で走りつずけた。
息が切れ、心臓が飛び出しそうになりながら、アパートの扉を開けた。
筆を持って、とにかく描いた。そうすると、気付いたら寝ていた。
4日目
何が起こったのか、全く分からなかった。
死んでいないのだ。
訳の分からないまま、おどおどしていると、一枚の絵を見つけた。
これは、昨日描いた絵だった。
そこには、3日前に見たあの死神が書いてあった。タイトルは、恐怖と理性、だった。
いつも、自殺から守っていたのは、死神という名の恐怖と理性だった。
生という白色の絵の具を際立たせるのは、死という黒色の絵の具だけである。
この時、僕は心からそう思った。
そして今日も筆を持つ。
その日突然、目の前に死神が現れて、自殺しようとしている僕に言ってきた。
君は3日以内に自殺すると。
突然 現れた死神に驚いて、僕は気絶していた。
起きたのは、病室のベットだった。
何度も自殺を試みたが、死神を思い出すたびに恐怖で体が動かなくなっていた。
その日の夕方、死神の言っていたことを、思い出した。僕は3日以内に自殺すると。
だから、その日の自殺はとりあえず諦めた。
アパートに帰ると、一通の手紙が届いていた。
それは僕が応募した、絵画コンテストの通知だった。
昔からの夢だった。プロの画家になることが。
ただ、誰にも認められてこなかった。
親にも世間からも、そんな寂しさが嫌で自殺を図ったのだ。
このコンテストに落ちていたなら僕はもう、絵画をやめなくてはならない。
そうなれば、もう僕の生きる理由はなかった。
封を開けるとき、自殺する時より心臓がばくばくしていた。
そこには、合格の文字が書いてあった。
2日目
昨日のことが信じられずに、封を何度も見返しては、ニヤニヤしていた。時には飛び跳ねたりもした。
ただそんな興奮はすぐに冷め、しばらく経ったら、夢中になって絵を描いていた。
描いていた。描いていた。描いていた。
気付いたら夜の7時になっていた。
手の筆も止まり、完全燃焼という言葉がぴったりだった。
達成感と、ひとつまみの喜び、小さじ一杯の疲労を含んだため息が一気に出てきた。
しかし、すぐに襲ってきたのは大量の後悔と絶望だけだった。
それは明後日には、自分は死んでいるという不安だった。
しかし、疲労には勝てず、倒れるように寝てしまった。
3日目
その日は早朝から何をしたらいいのか分からなかった。
何故だろう、2日前には死にたいと思っていたのに。
一昨日の通知で、完全に死ぬのが惜しくなってしまった。
まだ 生きたい。そう心から思った。
何をしたらいいのか分からず、でたらめに歩きまわっていた。
気付いたらそこは2日前に自殺しようとした場所だった。
そこで、思いのまま絵を描いた。かけたのは一枚だけだったが途端に、明日のことなんて考えずに、ただ絵を描いていたいと思った。
それから全力で走った。アパートまで全力で走りつずけた。
息が切れ、心臓が飛び出しそうになりながら、アパートの扉を開けた。
筆を持って、とにかく描いた。そうすると、気付いたら寝ていた。
4日目
何が起こったのか、全く分からなかった。
死んでいないのだ。
訳の分からないまま、おどおどしていると、一枚の絵を見つけた。
これは、昨日描いた絵だった。
そこには、3日前に見たあの死神が書いてあった。タイトルは、恐怖と理性、だった。
いつも、自殺から守っていたのは、死神という名の恐怖と理性だった。
生という白色の絵の具を際立たせるのは、死という黒色の絵の具だけである。
この時、僕は心からそう思った。
そして今日も筆を持つ。