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先祖の知恵
私は、基本的に女性は強いものだと思っている。

家庭のことは、今のところは、
石鹸は何のメーカーがいい。やら、トイレットペーパーの質感は、とか、
主人が気にしながら買ってくることはない。
大半の女性が消費するものに会社内で女性の決定権がないように感じるのもおかしな話。

家のことは、生活のことは、大抵 私が買う。
正直、そんなことに口を出されると息が詰まるし、
そんな事を考えなら、トイレットペーパーを抱え得て帰ってくる主人を
果たして選んだだろうかとも思う。
この人ならドッシリと腰を据えて、向き合い、しっかりと決断し、
共に生きていけると思ったからだ。

新人の頃、上司とその奥様と食事会をした。
その上司の奥様は、とても偉い方らしく
多くの女性に尊敬されているらしかった。
その奥様は、新人の私にその上司の悪いところを散々上げて、
笑い話をしていた。上司は、その隣でニコニコ笑っている。
私は、その光景が意味不明だった。
まだ会社に入って日の浅い私に、上司の悪口をいい、
どうしようとしているのか。何がしたいのか。
自分の家の看板に泥を塗っているようにしか見えなかった。
結果、どうなったかと言えば、その上司を見ると尊敬より先に
その笑い話と奥さんの顔が見えるようになった。

偉い女性と賢い女性は違う。
女性は、基本したたかだと思う。
そう考えると、日本の女性が今まで、弱かったとは思わない。
今の時代にそぐわないかも知れないが、
力強く、柔軟に、したたかに影になり、表になりしながら、生きてきたと思う。
今まで培ってきた日本女性の生き方を
肯定しながら生きていきたい。

主人には、堂々と楽しく、頼もしく社会を渡って欲しいと願う。
そして、私は、したたかに「どうだ、これが私の作った旦那様 (家族) だぞ。」と
密かに胸を張っていたい。と思う。

そんな私も社会で働く一人、社会の仕組みに歯軋りすることもある矛盾。
21/02/27 11:32更新 / kanata



談話室

■作者メッセージ
核家族になり、敵陣に一人で乗り込むような、決意と覚悟を持って
女性は相手の家に入ると言う価値観が古くなり、
お姑さんに怒られる機会も減り、相手の家の歴史を感じることも少なく、
確かに現代を生きる煩わしいことが少なくなった。

と同時に、あの道は、あの家の爺さんが開いた。
あの山は、あの家の爺さんが整えたなど、先祖が家の顔として積んできた徳も
一緒に消えていき、法事として親族の結束を強める行事も少なくなりつつある。
そして、ついに墓じまい、家がなくなる。

経験がないから言えることだとは思うが、
とても軽く楽にはなったが、今まで培ってきた先祖の知恵をこんなに短時間に
なくなることが、重みがなくなり、この先どうなるのだろうと思う。

こうして、書いてしまう私も賢い女性ではないのだろう。。。矛盾ばかり。

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