ポエム
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字書きの後悔
歌を聴くとき
物語に触れる時
必ず重ねるのは君なんだ
亡霊みたいな
想い出の残りカスの
君なんだ

もう顔も声もおぼろげで でも
僕にくれた言葉は
埃をかぶったまま
僕の心の奥底にしまってある
君が流した血と涙は
ミートソースみたいに
僕の頭に染み付いて離れない

あの日の君に追いつきたい
赤ペンだらけの原稿用紙を
褒め言葉でいっぱいにしたかった
あの日の君を追い越したい
後ろなんて振り向かず
ただまっすぐ歩きたい

消えてくれ
そう強く願うたびに
消えないでくれ
同時に強く思う自分がいる
僕の中には
あの日死んだ君がいなくちゃ
僕は何も書けない
僕は何もできないんだ

字書きの後悔 鳥山あゆむ
21/07/09 08:23更新 / 言欲



談話室



■作者メッセージ
鳥山という人間はとても女々しい。そして根暗だ。
いつまでもいつまでも昔のことを根に持って引きずって
さっさと忘れて仕舞えば楽になれるとわかっていても
「忘れたら何も書けなくなる気がする」
「自分は書くことが好きだし 後悔を綴ることが贖罪だ」
そんな言い訳をして気持ちの悪い後悔に物語を塗りたくって
人の目につくところで共感や慰めを求めてる。
そんな気持ちの悪い人間だと自分では思ってる。

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