ポエム
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罪と罰
春のある日 爽やかな風の吹く学び舎で
僕は初めて人を殺しました
ナイフで人を殺しました

夏の夜更け 血塗れの手で朝まで亡骸を抱き締めました
冷たくて腐っていく心を墓には入れませんでした

秋の日の夕方 肉が腐り落ちて骨になった頭と胸を
死体の涙で埋めて眠る夜は心地の良いものではありませんでした

冬の朝 珈琲と生クリームに溺れて 
僕の短い冬は始まり 一輪の椿と共に僕の冬は終わりました

次の春 僕は亡者に首を絞められました
何年経っても痣は消えないので 
夏でも首元には赤いマフラーを巻いています

嗚呼 神様
僕の中の神様
毎日祈りと懺悔を繰り返し
もう何年経つでしょうか
僕の罪にはいつ罰が降されて
僕はいつ赦される時が来るのでしょう

一度目の春の罪への罰が 
二度目の春の出来事なのでしょうか
そうなのだとしたら僕にはとても足りません 

僕は人殺しです
神様 いっそ 僕を殺してください
いつまでも赦されず罰せられないのなら
いっそ毒を盛って 首を絞めて 心臓を突いてください
僕には何もないこの時間が 
誰もいないこの夜が
とても耐え難いのです

嗚呼、そうか
これが僕への罰なのですね

罪と罰 鳥山あゆむ
21/06/27 02:20更新 / 言欲



談話室



■作者メッセージ
もう何年も経って 気にしてないと思っていたことがあるんです。
何度も詩にして 何度も概要欄に書いた 僕の中の神様のモデルの事。
でも 今日気づいたんです。
僕は気にしてないフリをしていて そんな現実を見ないで 上っ面だけで「もう別に何とも思ってないしぃ〜」と思春期の中学生みたいなツラして生きてたことを。
現実を見たところで 僕の生き方も後悔も変わらない。

過去を引き摺るから負け犬なのか 負け犬だから過去を引き摺るのか。
僕には未だ答えが出せません。
答えが出せないうちは 僕は負け犬のままです。

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