ポエム
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カビだらけのこのパン
ボクには何もない
何もないから考えた
考えてたらお腹が空いた
ボクはどこから来て
どこへ行くのだろうか
いつまで 立ち止まったままなのか

あんまりお腹が空くもんだから
持ってきたパンを食べようと思った
でも ずっと立って考えていたから
腐ってカビが生えていたよ
ああ これ 食べたらお腹壊すかな?
君がもし隣にいたら
やめときなっていうんだろうね

君は遠くの町で 
前を向いて 未来を信じて
輝いた瞳で毎日を生きて
そんな姿に惹かれて寄ってきた
僕の知らない誰かと恋に落ちて
結婚して 子供ができて 
きっと最期は幸せに死ぬんだ
普通に死ぬんだ


その間ボクは きっと きっとさ
腐ったパンを食べるかどうかで
また悩んで 立ち止まって 
バカみたいな格好で死ぬんだ
カラカラのボロボロで
カビだらけのこのパンみたいに
何にも残せず死ぬんだ

そんなことを考えてたら
ネコが前を通ったよ
こちらを一瞥して 
ボクを嗤うかのようにひと鳴きして
トラックに跳ねられて死んでったよ
ボクの魂も 攫って逝って欲しかったな

ネコとトラック ありがちだなんて考えてたらさ
雨が降ってきたよ
冷たいアメ 黒いアメ
傘も何もないボクは
このままアメに流されて
溶けてしまえたら
もう考えなくてもいいんだなって
そんな妄想ばかりしてる

カビだらけのこのパン 鳥山渉
21/03/21 01:34更新 / 言欲



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■作者メッセージ
恋愛モノ封印中。
書き溜めたらいるので 落ち着いたらまとめて公開します。

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