ポエム
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弱虫同士
部屋の中の虫籠が
空になっていたことに気が付いた
二匹の虫を飼っていた
「弱虫」と「泣き虫」
図鑑には載らない虫

色の無い部屋の中で
ぼくは彼等がいない事を知らずにいた
強がることを覚えた
「強がり」と「強さ」
違うものだと気付かなかった

「弱虫」はいつのまにか帰っていた
何も無いこの部屋の虫籠の中に
「泣き虫」は帰ってこなかった
きっと死んでしまったのだろう

おかえり 「弱虫」くん
君のお陰で「ぼく」はまた「ぼく」でいられる
さよなら「泣き虫」くん
君がいないと「ぼく」は泣けないよ

「ヒーローになりたかったなあ」
虫籠抱えて呟いた
「ヒーローになれるかなあ」
昔の夢を思い出した

今日も部屋から出られずに
二人三脚 部屋を廻る
一人と一匹 ぐるぐる廻る

弱虫同士 鳥山歩結
18/12/14 21:30更新 / 言欲



談話室



■作者メッセージ
自分が 以前は今以上に怯えていて 後ろ向きで 泣き虫だった事を思い出しました。
その頃は 「弱いから」と憧れを持たず すぐに諦めていました。
鳥山の中にも「弱虫」くんは帰ってきました。
でも「強がり」の残滓が 諦める事をさせてくれないのです。
何かを成すことを諦められず でも弱さと仲良くしている。
鳥山の矛盾の原点は 此処に 過去にありました。

※ツイッターの方ではお知らせしましたが 12/6から 少し活動を休止しておりました。その間 見てくれてる人がすごく増えて 嬉しさでいっぱいです。読んでくださる皆様に感謝しかございません。
感謝の気持ちでいっぱいな反面 作品の公開が遅くなりましたことが申し訳なく思います。
これからも ひとりでも応援してくださる方がいる限り 頑張ろうと思います。
読んでいただいた皆様に 素敵な世界が広がれば幸いです。

長文失礼致しました。

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