なんとなくアザラシが見たい朝がある
ほんと たまにのことなんだけど
水族館にわざわざ行ってまで
見たいってわけじゃあないんだ
近くに見れる施設もないし
ひとりで行くのは少し寂しい
まあ生きてるうちに 見たいなってくらいかな
ぼんやりとした欲望さ


なんとなく コーヒーについて考える昼がある
最近は ほとんど毎日なんだけど
ぬるいコーヒーって当然美味しくないし
かといって熱々でも僕は飲めない
冷たいのも別に嫌ではないが 好まない
わがままだなって思うけど
この温度へのこだわり
なんだか人間相手でも当てはまるなあ


なんとなく好きな人のことを考える夜がある
ほんと いつものことなんだけど
何してるのかな って気になるけど 聞けない
打って消してを繰り返したメッセージは
ブラックホールの向こう側
カーソルを往復させる僕のことも
この消えない恋心も
テレパシーでいっそ 伝われば
少しは気楽に接せるのにな


君のことを考えながら眠るからかな
昨日は君が笑ってくれる夢を見たよ
朝 目が覚めてから ふと ある歌詞を思い出した

「眠れない夜 夢で逢えたらどこへ行こうか？
あなたがいれば どこでもいいよ」

なんて MONGOL800が歌ってたけど
本当だなあ って思ったよ
夢でも現実でも これまでもこれからも
君が隣にいれば それだけで幸せなんだって
噛み締めながら 危うく二度寝するところだったよ


恋よ 僕のこの恋の木よ
今はまだ実らなくていい
アザラシのこと考えて起きて
コーヒーを飲んで
君を想い眠る
僕の一日はそれだけでいい

いちにち 鳥山渉

■作者メッセージ
何が伝えたいわけじゃない
ひとりごと