頁をめくるみたいに
空は色を変え始める
嫌だなあ
明日が今日になる
今日が昨日になる
今日も何もできなかった

今日も明日も明後日も
きっと僕は無能だ

今日何もできない奴が
明日何かを変えられるもんか

なんて卑屈になってる僕も
夢の中にいるであろうあの子も
昔僕をいじめたあの先輩も
近所の家の犬のもとにさえ
平等に陽は登り
平等に明日が来る

明日を願わない僕にも
明日を願うその他大勢にも
眠れない僕にも
眠れているその他大勢にも
朝は来てしまうんだ
朝は来てしまうんだ

ずっと夜なら良かったのに
そしたら朝刊がポストに届いてるのも
空が明るくなり始めるのも
テレビの放送休止の ピーッ だって
見なくて済むのにな

日の出前 口なき死人は文字で語る 鳥山渉

■作者メッセージ
メモ欄にこの作品を綴り終えて 家に帰って見直しをしてたら
猫が励ますように 鳴きながら頭に飛びかかってきた
普段はおとなしく無口な猫だが
何かあるときちんと伝わってるのか 心配そうに擦り寄ってくる

猫と会話できたらいいのにな
そしたらきっと 毎日もっと楽しいよ