ポエム
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飼育
おはようを初めて言った時
もう俺達はこの中にいた
餌が投げ込まれるのを待つだけの
安定した世界
運が悪いものはたまにどっかに連れてかれる
それだけだ
それだけ意識してりゃここで生きていくことは簡単だぜ

あのクソな先輩から送られてきたLINEを
真っ当な日本語に翻訳してやると
大体こんなことが書かれていた
だから世の中のクソどもは一生クソなんだよって
久々に笑えたので感謝はしてるんだけどな

少年はそう言って
古いスマートフォンを
溢れかえったペットボトルのゴミ箱に捨てた

狭い釣り堀の中で
意気揚々と
俺は吊り上げられないぜと言っている
体の肥えた魚達は
投げ込まれている餌が何でできているかすら
考えることができずにいる
アホみたいに口をぱくぱくさせて
俺が1番デカくてはやくなると競っている
いつか投げ込まれるホウ酸団子に気がつくことすらできない
そうやって生きていきたいなら生きていけばいい

少年は夜道で倒れた
23/04/09 18:29更新 / tetrapod



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