ポエム
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肌を撫でる風が優しくなった
湿気た雨の日の心地よい空気に肺に溜め込んだ毒煙を吐き捨てる
禁煙詐欺は今日も継続中
この心地よいひとときのために生きているのだから
1杯目は必ずHeineken
本当はキリンの方が好きだけど
横文字の方が格好良いから仕方がない
意味のない会話で溢れる駅前のバーは
今日もいつも通り世の中の掃き溜めとして賑わっている

世の中に期待しすぎたのかもしれないな
マスターに言われた

目の前に見える光景に酔っていれば
そんなことも考えなくて良いはずなのだ
今何を目指して歩いているのかわからなくなっても
そんなことどうでも良いはずなのだ
長生きする理由なんかもないはずだった
良いことがあるなんて限らないのに
なぜ辛い思いをして這いずっているのか

良いことがあるなんて限らないからだろう

不確定なら不確定ということなのだろう

道は一本に絞られている
前を向くか後ろを向くか、それが止まるか
自分自身がそれは選ぶものだ

Hainekenは3杯目だった
気がつけば吸い殻の山ができていた
時計の針は2周していて、終電はもうすぐだった

傘はささずに店を出た
バルーンを歩いているような足取りで
スーツ姿のサラリーマンの横の吊り革を掴んだ



22/10/06 18:53更新 / tetrapod



談話室



■作者メッセージ
なぜか分からず悩んでいることや、この先に何があるか分からないというぼんやりとした不安感に日々悩まされている。そんな人は多分世の中にいっぱいいて、だけどそれすらアイデンティティだと思えるような、そんな人間になっていきたいです。
あと一歩何かに対して足を踏み出さなければいけない。
文字に起こすことは心の整理につながるとそう思います。

初投稿でした。

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