ポエム
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夜間飛行
蒼い時雨に 野ばらの花を添えて
黄昏時の 風に耳を澄ませた

弱いこの手じゃ なにもつくれないから
昏い雫に そっと身を委ねた

薄紅色の 指輪をはめて
少し小さな靴を履いたら
橡色の 箒をもって
雨上がりの街へ

今宵は瞬く星の下
花でも摘みにいきましょうか
それとも輝く月のそば
雲をあつめてきましょうか
ひとりぼっちの 魔法使い
くるくる回って空を翔ぶ
静寂響く 宵闇に
希望を探しに出かけましょう


紅い日傘に 花びらひとつ落ちて
夕暮れ時の色に 瞳を染めた

強い何かを 求めるその度に
儚い望みを 壊されて育ってきた

琥珀色の 簪さして
少し大きな鞄を持ったら
濡羽色の 猫を乗っけて
騒がしい街へ

今宵は煌めく波の上
花火を眺めにいきましょうか
それともざわめく声の中
飴でも買ってきましょうか
ひとりぼっちの 魔法使い
ふらふら浮かんで宙を舞う
歓声響く 暗がりに
ちょっと混ざってまいりましょう


若苗色の草を踏みしめ
朱殷の指先を拭う
常磐色の葉をかき分け
いつしか小さな傷も
自分で治せるようになっては
誰かがくれた優しさを 愛を
忘れていくの?


今宵は瞬く星の下
花でも摘みにいきましょうか
それとも輝く月のそば
雲をあつめてきましょうか
ひとりぼっちの魔法使い
ふらふら笑ってごまかして
愛を抱きしめられるまでは
こんな生き方でもいいでしょう?

さあ 今宵もささめく空の中
暫し遊びに出かけましょう











19/03/17 23:11更新 / Eine



談話室



■作者メッセージ
閲覧ありがとうございましたっ( 〃▽〃)

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