ポエム
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嘘付き
いつからか

チョコはミルクじゃなくてビターをえらぶようになって
コーヒーに角砂糖は一個で耐えられるようになった

バイト先の年上の先輩に魅力を感じるようになってから
世間の流行りに追いつこうと雑誌を買うようになった

映画をみながら人目を気にせずに泣けるようになったし
お酒だって、美味しいか不味いくらいならすこしは分かる

とうの昔に幽霊なんか怖くなくなったし信じなくもなった

大勢でいることが必ずしもたのしいわけではないだろうし
社会に出てからはむやみに大人を信用できなくなった

大人になるということ

高校からの憧れだったロックバンドは
「 方向性の違い 」なんてきたない嘘で去年の秋に死んだ

一か月前、2年も一緒にいた彼女に別れを告げられて
動揺を笑いながら誤魔化そうとしたけど、いつも
みたいに目を細めて笑う彼女はどこにもいなかった

笑っちゃうよな

でも引きずるほどではなかったしこうなることが
ずっと昔、どこかで分かっていた気さえもしていた

一人になるということ

「 素直な人が好き 」

思い出に取り残された忘れたいはずのことばが
ぼくをちいさな嘘さえもつけない人間にさせた
19/04/04 13:37更新 / 享年 十七歳



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