・1

少女を集めてどうするつもり？
綺麗な彫刻が施された足枷に裸足が映えている

少女症を感染させようと思ってるんだよ
と彼は言った
少女たちの間に流行る病は
残念ながら彼にも感染している

気付くそぶりはまだない


・2

少女は逃げたんだ、あの個室から
小鳥のように愛でられてはいたけどね
このまま病死するわけにはいかなかったんだ

外に出たらみんなに振りかかる事
知っている筈なんだけどね
あのまま病死したいとは思わなかったんだ


・3

ある画家が架空の少女を仕立てあげ
肖像を自分の部屋に飾っていた

彷徨える魂が気に入れば
額縁から飛び出してくると信じて

しかしいつまで経っても変化はない
修正する度に少女の顔はぐちゃぐちゃになった


・4

逃げて逃げて逃げて
声がするままに走る
君は何から逃げてるの

未来を憎んで自分を恨まず
都合のいい未来図を描いている
終わりが来ないと思ってるほど
君は馬鹿じゃない

残ったのは
少女の抜殻

既に大人になっていた


・5

少女が罹る病を
今更挙げる気はないよ
元少女は美酒を飲む

忘れられない想い出はない
置き去りたい想い出しかない

酔うも酔わぬも
いつでも一緒
後悔なんてしてはいない