ポエム
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荊棘姫(いばらひめ)
華奢な躯を罠で囲い
近付くことを許さない
気高い蝶は華と散る
並び立つのは蒼い鳥だけ

囀りは日々への讚美
芽生える意志は存在への冠
頭上に頂く証とならん
何人たりとも及ばぬその眼

しかし孤独に勝る孤独はなし
知らず知らず流す涙が
誘いの蜜となり雨に混じった

じぶんを苛む蟲たちの
下劣な羽音など聞きたくない
ある日姫は救いを求める

例え触れた棘で傷付けても
抱き締めたい人がいた

あの人はいま心惑わす
負の森の中にいる
足を踏み出すのを躊躇わないで
そこに沼などないのだから

朧な岩場を乗り越えて
清んだ眼で辿り着いたなら
全てを投げ捨て受け止めるから

ああ、幾年を過ぎてなおも
「昔々」で始めたい物語がある

姫はただ美しかっただけ
荊を涙で育んだだけ
15/10/09 20:54更新 / キョーカ



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