荊棘姫(いばらひめ)
華奢な躯を罠で囲い
近付くことを許さない
気高い蝶は華と散る
並び立つのは蒼い鳥だけ
囀りは日々への讚美
芽生える意志は存在への冠
頭上に頂く証とならん
何人たりとも及ばぬその眼
しかし孤独に勝る孤独はなし
知らず知らず流す涙が
誘いの蜜となり雨に混じった
じぶんを苛む蟲たちの
下劣な羽音など聞きたくない
ある日姫は救いを求める
例え触れた棘で傷付けても
抱き締めたい人がいた
あの人はいま心惑わす
負の森の中にいる
足を踏み出すのを躊躇わないで
そこに沼などないのだから
朧な岩場を乗り越えて
清んだ眼で辿り着いたなら
全てを投げ捨て受け止めるから
ああ、幾年を過ぎてなおも
「昔々」で始めたい物語がある
姫はただ美しかっただけ
荊を涙で育んだだけ
近付くことを許さない
気高い蝶は華と散る
並び立つのは蒼い鳥だけ
囀りは日々への讚美
芽生える意志は存在への冠
頭上に頂く証とならん
何人たりとも及ばぬその眼
しかし孤独に勝る孤独はなし
知らず知らず流す涙が
誘いの蜜となり雨に混じった
じぶんを苛む蟲たちの
下劣な羽音など聞きたくない
ある日姫は救いを求める
例え触れた棘で傷付けても
抱き締めたい人がいた
あの人はいま心惑わす
負の森の中にいる
足を踏み出すのを躊躇わないで
そこに沼などないのだから
朧な岩場を乗り越えて
清んだ眼で辿り着いたなら
全てを投げ捨て受け止めるから
ああ、幾年を過ぎてなおも
「昔々」で始めたい物語がある
姫はただ美しかっただけ
荊を涙で育んだだけ