ポエム
[TOP]
カラーひよこ
それは私がちいさいころからみていた夢
暗闇のなかでちいさなひかりを
両手でたいせつにつつんでいる夢

それが最近になって正体がわかりました
ひかりはひかりではなく
まっしろなひよこだったのです

てのひらの中の白いひよこは
ぴぃとひとこえ鳴くと
ひょいと手からとびだして
たくさんの絵の具をとりだしました

ぴぃと鳴くたびに絵筆がひとりでにうきあがり
まっくらな場所にひかりを描いていくのです
赤・橙・黄色とかさねていくそれは
ひとつの景色をあらわしていきます

わたしにはそれがなんなのかわかりました

ひよこはぴたりと描くのをやめて
わたしをふりかえって絵の具を渡します

ひよこはじぶんの色を決めてほしいようなのです
ぴぃとまたかわいらしいこえで鳴くと
いくらでも待つぞとどっしり構えてみせます

わたしにはなぜずっと長い間つつんでいたのが
ひよこと気づかなかったのかもわかりました

きっとこれはやさしい悪夢
終わらせかたが用意されている悪夢
わたしは手をのばして絵の具と絵筆をうけとって
景色にもうひとつ色をくわえました

けれどひよこには色をあたえませんでした

ひよこは解ったとぴぃと鳴いて
こんどは白くかがやく大きな鳥にすがたをかえて
このカラフルな暗闇のむこうへととびさりました

わたしはもうめざめるじかん
この夢はもうみないけれど
あのひよことはいつか
げんじつで会うのだろうと
そんな予感がしています
15/10/09 20:52更新 / キョーカ



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c