予定調和
決してこうはならぬと描いた肖像画
仮初の安寧を謳歌する不条理な愚者
夢を忘却した恐ろしく醜い姿を晒して
無風の道を悠々自適に闊歩する
愚かであるゆえ、行き先も知れないのである
生ける屍はカンバスを隔てた僕に
厭らしくもみっともない笑みを贈る
決してこうはならぬと反芻するも
鏡を見れば
いつとはなしに僕は愚者と瓜二つであった
焦らずとも引き返せばよい
だが振り向いた僕は既に失せた道に絶望した
どうにか剥がせぬものか
どうにか変われぬものか
僕は愚者と化した顔をひたすらに掻き毟った