雛の望み
ちょこちょこ。
雛鳥がきょろりと首を巡らせ歩いている
小さな頭に卵の殻を乗っけたままに
ちょこちょこと。
ボクはどこに行けばよいのだろう
ぐるぐると迷っている年月の間に
まわりは次々と美しい成鳥へと育った
ボクはいつになったら大人になれるのだろう
あとから生まれた子も次々と大きくなってゆく
みんなまばゆく、美しい
いつまで経ってもほんの少しも育てない雛鳥は
やがて歩むことをやめ、
永遠に立派になれない己を受け入れた
今では夜空を仰いで望むはただひとつだけ
はやくここを飛び出して
無数の星の、ひとつになりたい