ポエム
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饒舌な心
ここにいる理由なんて考えることじゃないけど、
自分じゃなくてもできることは誰かに頼りたくなる。
わかってるよ、頼れないのは自分の弱さ。
今日は、今日は、ってあと少しだったのに。
「誰かのために」と苦労を重ね、
断れない私はいつもばかで。
疲れた身体を酒で流すような、
つまらない人にはなりたくない。

あなたには笑顔しか見えないのだろうけど、
心からの笑顔なんてとっくに忘れたよ。
くだらない話でも愛想笑いで、
その場をしのいで、逃げて、消えて。
何をしたいのかどこに向かうのか、
不意に頭をよぎるこの不安。
わかってる限り、それを決めるのは自分。
誰かのせいにしたくてもできないから。

自分自身と向き合ってからの世界は、
吹きすさぶ向かい風に邪魔されてばかりだ。
自分の自由を手放していたから、
向き合えずに埋もれてしまった心の声。
‥別に、知りたくもないのに
知ってしまったプライドの脆さ。
ためらいの中、
振り切って出会ったのは
‥本当の自分。



理想の自分って‥?
幸せになりたい‥?
妄想、願望で済ませるような、
口先だけの人間にはなりたくない。
理想・幸せを演じて得るのは、
承認欲求に振り回される腐った心。
中身ない言葉並べるよりも、
示したい、しがない態度・行動。

誰もいない部屋で生ぬるい風に吹かれ、
見えない明日を求めもがいてる。
「結果」しか価値がない世の中だけど、
「過程」ってやつはいつも成長をくれる。
疑わず乗っていたレールの上で、
唯一覚えている恩師の言葉。
「背中で語る先輩になれ」って。
いったい、いつになったら‥。

嘘つく言葉が見せる世界は、
触れたら消える期待しかなくて。
いつかの約束も「微妙だし」と濁され、
ゴミ箱の奥底でもう拾えなくなってる。
‥別に、もう偽物のあなたと
話す気なんてなくなったよ。
でも、ありがとう、学んだ。
言葉はいつだって‥嘘をつく。



「乾杯」、「乾杯」、グラスぶつけ合い。
悪口、陰口、ここにその人はいない。
恥をかき捨て、身内を出し抜け、
胃酸を吐き捨て、人生の味付け。
そんなくだらないことを
「飲みニケーション」って言うのだったら、
そこに居場所なんてなくていいよ、元々ないけど。
本音がこぼれ落ちていくのを見る度に、
それは全部嘘だよねって問い詰めたくなる。

食べたいものは何一つ出てこなくて。
言いたい話も何一つさせてくれなくて。
汚れた空気をきれいにしたくてもできないけど、
疲れるまでほほえんでるから許してね。
「来て良かった」と思えた日を数えたくはないよ。
数えるのは自分の罪ばかりなのに。
忘れたいと願っても、
どうしてあなたは忘れさせてくれないの?

しらふの私に見える世界は、
あなたに見えない汚れた世界。
肩身が狭いのは遠慮からなのか、
乗り込む気持ちが湧かないからか。
‥別に、酒はいらないよ、
のむのは雰囲気で十分だから。
笑えない話で笑ったふりは疲れた。
‥帰りたい。



最後に見えるはずの走馬燈、
どんな景色を見せてくれるのかな。
振り返ったときに残っている足跡は、
どれもこれも消えてなくなりそうだけど。
過去に手にした栄光たちも、全て忘れて、
賞状は埃かぶってる。
思い出せるのは嫌な記憶に、
変わってしまったあの頃の思い出。

正直・素直な心のままで、
語れる日々を生きていきたい。
いつか間違いだらけの人生も、
間違いじゃなかったと言い切りたい。
誰かの目に泥臭く見えても、
それが私らしさの証拠だから。
だから、絶対に、自分を、
自分を捨てはしない。

自分の足で立ち見えた世界は、
あの頃よりもずっとまぶしく見えて。
失った19年の時間を後悔で塗りつぶさないように
そっとそっと抱きしめる。
‥別に、言うことじゃないよ。
話のネタにされたくないし。
限界を知らされてもあと少しだけ‥
前に、前に。

20/12/06 09:52更新 / 眞六 あつし



談話室



■作者メッセージ
これは一年半以上前に書いたものです。読み返す度、いかに昔の自分が弱かったのか思い知らされます。

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