ポエム
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根なし草
私には帰る故郷がない
故郷に旧友がいるとしても
帰るところにはなりえない
旧友に会う機会を経る度
ばつの悪さを覚えるばかり
酒とたばこの多さに驚き
格差を肌で感じてしまう
年を取ったのは私だけ


私には帰る実家がない
実家に両親がいるとしても
帰るところにはなりえない
両親から教えられたことはない
人を愛することを知らず
心のよりどころを知らず
船頭はただ一人であった
私の親は私自身


春が来れば 故郷を去る
春が来れば また自由になる
思い出も 思い入れもなく
友達になるような人も消えた

何が私を引き留めようか
誰が私を引き留めようか

立つ鳥跡を濁さぬように
何も残すな その根さえ
20/11/20 23:13更新 / 眞六 あつし



談話室



■作者メッセージ
3月に下宿先から実家に戻り、次の3月に実家を去る。一人暮らしの経験は私に多くのことを気づかせた。春から社会人。この息苦しさも、これが最後。

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