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不器用な優しさ #まろ黒詩
実家の部屋
引き出しの中
人からもらったもの
全て残していました
そこには手紙が
1通ありました
中学卒業式に
もらった手紙でした
卒業文集と年賀状に
「頼りない先生」って
自分で書いちゃう
新任の若い先生の手紙でした
俺が卒業式の前日に
先生の靴箱に
忍ばせた手紙に対する
返事の手紙でした

パンダのシールで
軽く封がされた
その手紙の一節には
こう書いてあります
「これからも、
その少し不器用な優しさで、
新しく出会う人たちを
幸せにしてあげてください。」
俺が何をしたか
今では覚えていません
手紙に何を書いたかも
今では覚えていません
でも確かにあのとき
先生のために
なにかできていたことが
誇らしく思えます

俺は教壇に立つ先生と
同じくらいの歳になった
それでも先生との年齢差は
当たり前だけど埋まらない
幸せの意味を考えても
たどり着く気がしないのに
人を幸せになんて
できているのだろうか


手紙の中に
生きた証
言葉で残る
思いが1つ
脳裏に映る
あのときの光景
幼かった
でもきれいだった
不器用な優しさ
それが俺なのか
その言葉はどうしても
反証できなかった
自分では見えない
盲目の扉を
ノックされると
なんだか嬉しい


口数少なくて
ごめんなさい
言葉足らずで
すみません
悪気は何一つ
ございません
つまらないなりの
頑張りです
負けてる人を
応援します
強い人の味方は
致しません
悩める表情を
見つけてしまいます
代わりに俺は
ポーカーフェイス

楽しそうな場所では
楽しそうにします
楽しそう見えても
楽しんでいません
無視すればいいと
わかっていても
楽しめない人の心配で
ぜんぜん楽しめません
お酒を嗜み
すぐさま紅潮
飲まされないから
下戸でよかった
酔っぱらいの話も
真剣に聞くから
あなたよりもあなたを
知っているかもしれません

1人だけでもやれることに
夢中で取り組めたとしても
1人でやらされてると知れば
飽き飽きして逃げたくなる
1人でやれてしまうんだけど
やっぱり俺は一緒がよかった
そうすればもっとうまく
やれたかもしれなかったのに


手紙の中に
昔の姿
手紙を読んでる
今の姿
人は変われると
証明しておいて
見つけてしまった
変わらないもの
不器用な優しさ
それが俺だから
受け入れてしまえば
生きた証さ
損してばっかでも
嫌になっても
手紙を思い出すと
なんだか嬉しい


手紙の中に
大事な言葉

手紙の中に
あなたの笑顔

手紙の中に
俺の姿

手紙を読むと
なんだか嬉しい
20/04/02 22:09更新 / 眞六 あつし



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