ポエム
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人生の脱け殻 #まろ黒詩
過去に戻れるとしたら
何をするだろうか

思いきって
あのときとは違う
未知の冒険をしようか

勇気を出して
あのときの後悔に
立ち向かおうか

体裁を気にしないで
ルールをばんばん
破ってやろうか

知ってるよ
どうあがいても
過去には戻れない
現実は甘くない
いやちょっぴり甘いか

過去に戻れなくても
未来には進んでいる
時間は平等に与えられている
この手には確かに
平等な時間がある

明日へと進み続ける時間
それから
日に日に色あせる時間
それから
終わりに近づく時間
それから
それから
この手には何が残っている
考えてみろ

換金した命
腐り行く体
離れ行く心
かすむ太陽
去り行く友
寂れる故郷

あぁ
失ってばかり
何か得る度に
何か失って
季節が巡って
また失う
気づいたら
人生の脱け殻が
この手に残ってた

脱け殻のくせに
いつまでも変わらない笑顔で
ほほえみかけてくる
よく見たら
そんな顔をしてたのか
今知った
けど
ひびが入って
少しずつ
欠けて
少しずつ
わからなくなる

あれっ
何してたんだっけ
他に誰がいたっけ
どんな話をしてたっけ
何で笑顔なんだっけ

脱け殻が欠けるごとに
わからなくなる
いつか粉々になって
この手から
消えるのだろうか

脱け殻が
消える前に
もう一度
脳裏に焼き付ける
あのときの笑顔
20/02/28 21:20更新 / 眞六 あつし



談話室



■作者メッセージ
懐かしむと死んだような気がする。立ち止まってしまうのか。いや、もっと前に進みたい。

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