フーガ
(フーガ)
楽曲形式の一種。曲の途中から、前に出た主題や旋律が次々と追いかけるように出る曲。遁走(とんそう)曲
(遁走)
[名](スル)逃げ出すこと。逃がれ去ること。逃走。「敵前から遁走する」
二年ほど前に栞を挿んだきり
本棚の一部となりかけていた
その小説をまた読もうとした
そのきっかけは何だったのか
まずはそのタイトルを記そう
『フーガはユーガ』
フーガと聞いて思い浮かぶのは
音楽の形式くらいだったので
音楽に関する話なのかな
と漠然に想像していた
実際には双子の兄弟の物語で
タイトルはその二人の名前なのだ
風我と優我
彼らは残酷な人生に立ち向かう
作者はこれでもかと
主人公(達)を過酷な状況ヘと追い込む
しかし彼らは決して逃げない
二人で一人となりながら
あらすじを述べたいのだが
(というかこの話を誰かに伝えたい)
僕の言葉では陳腐になってしまうし
あなたとの出会いを奪いかねない
ただ言えることは
この物語に触れることで強くなれる
どんな困難も恐れる必要がなくなる
少し大袈裟かもしれないけど
例え話を一つ
ピアノという楽器は両手でひくもの
左右の手が各自のパートを奏でる
もしも右と左が一瞬で入れ替わり
旋律を紡いだならば気づくだろうか
これはもちろん
ピアニストの手元が見えない
そう仮定した上での話だけどね
分かりにくい喩えでごめん
別に読んでくれなくてもいいんだ
ただ僕は懐かしかったんだ
初めてこの作者の物語を読んだ時の
あの鼓動を呼び起こされたから
あらかじめ断っておけば
これは欠落と補完の物語だ
ただ満たされたいだけなら
読まないほうがいい
僕の話に付き合ってくれて
本当にありがとう
あなたが誰かは知らないけれど
たぶん分かると思うよ