ポエム
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ありがとうの石
知らない誰かが
ひょっこり現れて言いました
「この石に、価値はあるかな?」

切株くらいの、ただの大きな石
色もくすんで、ただのゴツゴツした石

私は答えました
「ただの石に価値なんてあるわけないじゃないですか」

するとその人は、にっこりもせず
「じゃあ価値をあげよう。きみがそれを感じられるようにね」

その途端、強い風がビュウと吹いてきて
まるで見えない手で押されるように、私はふらつきました
足がガクガク、立っていられないほどの力に押されて

ふと後ろを見ると、そこはなんと絶壁!
足を踏み外せば、まっさかさま

私はびっくりして、目の前の石に必死にしがみつきました
石は冷たくて、硬くて、頼もしく
大丈夫だよと語りかけているようでした

風がおさまった後、その人がもう一度聞きました
「どうだい、石に価値はあったかな?」

私は涙を流しながら、ぎゅっと石を抱きしめ
何度も「ありがとう、ありがとう」と繰り返しました

常識が一瞬で覆るのを私は身をもって学びました
価値は私たちの置かれた状況で変化します

あなたはこれを覆せますか?
24/11/09 22:18更新 / はともみじ



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