ポエム
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決戦の廊下
廊下に向こう あなたの姿が
目に飛び込む

あぁ しまった
朝から 口紅 ぬり直してない

いつも あなたに 見つめられる時は
一番 きれいな 私でいたいのに…

抱えた ファイル 落としてみようか ?
いや わざとらしい ?

いっそのこと駅でまちぶせ ?
いえ 同僚と一緒にいたら
どうするの ?

いくつも浮かぶ
私の中の 大計画

なのに あなたを
目の前にすると 体ごと固まり
実行不可能

"よう 今日も暑いね"
"はい 今日は 忙しくって 化粧も し忘れちゃいました"

必死のいいわけ
あなたは うまく
キャッチしてくれるかしら

"そう 頑張ってね" と
言葉の 素通りは ちょっと 切ない

けれど あなたがくれる
まぶしい笑顔は
今日も 私を キャリアウーマンのごとく
動かしてしまう

ここで あなたの笑顔に
こんな風にして 出会えなければ

私の視界のシャッターは
ストンと落とされ
心の日だまりさえも
失ってしまう

ここは 私のトキメキの場所
ここは 私のひのき舞台
ここで 明日は どんな物語が
待っているの

いつか 口紅の色 変えてみて
髪型を 変えてみて
気づいて貰えたら
ありがとうと 小さくウィンク
しょうかな

言葉は 少なめだけど
くしゃくしゃな笑顔を
くれたあなたの背中

部署に すい込まれていくのを
見届けながら
言葉で 告白できない私は
今日も 心の中で 投げキッス
20/08/12 23:39更新 / スミレ



談話室



■作者メッセージ
昔のことを 懐かしく思い
そんな思いを 思い出して
書いてみました。

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