ポエム
[TOP]
15日の蝉

7日しか 全う できない命

時には うるさいなぁ としか
思えないこともあった

けれど 昨日 鳴いていた蝉は
きっと 今日 鳴いている蝉とは
違うのでしょう

鳴き声を弱らせ 急に
鳴かなくなった蝉

去年は あぁ 少しは 静かになったとしか
思えなかったけれど

それは 命を 終わりを
告げた サイン

8月の美空に 散り行く 潔さ
75年前の 同じように 暑かった
夏の記憶を 甦らせて

それは 蝉と同じ
命の選択を 選べない時代があった

友も 家族も 最愛の人をも
引き裂き
お母さんと 雄叫びを上げて
散っていった魂

蝉の脱け殻を 見つけた時
出会ったこともないのに
優しい目をした 眩しい青年たちの
微笑みばかりが 脳裏に 浮かぶ

もしも この世に
前世と言うものが存在するならば
あの時代に心痛ませるものは
前世の記憶をたどっているのかも知れない


せめて 脳裏に 永遠たれ
今世に 生きるものが
忘れずにいれば
次の世代へ また引き継がれ
その笑顔は 世代を越え
輝き続ける

20/08/16 14:45更新 / スミレ



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c