15日の蝉
7日しか 全う できない命
時には うるさいなぁ としか
思えないこともあった
けれど 昨日 鳴いていた蝉は
きっと 今日 鳴いている蝉とは
違うのでしょう
鳴き声を弱らせ 急に
鳴かなくなった蝉
去年は あぁ 少しは 静かになったとしか
思えなかったけれど
それは 命を 終わりを
告げた サイン
8月の美空に 散り行く 潔さ
75年前の 同じように 暑かった
夏の記憶を 甦らせて
それは 蝉と同じ
命の選択を 選べない時代があった
友も 家族も 最愛の人をも
引き裂き
お母さんと 雄叫びを上げて
散っていった魂
蝉の脱け殻を 見つけた時
出会ったこともないのに
優しい目をした 眩しい青年たちの
微笑みばかりが 脳裏に 浮かぶ
もしも この世に
前世と言うものが存在するならば
あの時代に心痛ませるものは
前世の記憶をたどっているのかも知れない
せめて 脳裏に 永遠たれ
今世に 生きるものが
忘れずにいれば
次の世代へ また引き継がれ
その笑顔は 世代を越え
輝き続ける