海は
深くて冷たい
一度奥まで入ってしまったらもう出られないんじゃないかと思うほど
下へ下へ墜ちていくと
どんどん
冷たくなる
どんどん
暗くなる
外の世界なんか見えなくなる
それが心地いいんだ
全てを
忘れられる
全てを
受け止めてもらえた気になれる
みんなは止めるけど
私は
まだまだ下へと向かう
心の隅で思っていたことを
肺に残ったわずかな酸素と吐く

認めて欲しかった
褒めて欲しかった

いつのまにか
息ができなくなっていた
でも
今の私には
そんなこと関係ない
これからはずっと此処にいよう
もう戻らなくていいのだから

■作者メッセージ
海の奥深くの冷たい肌触り
暗い暗い闇に呑まれるような感覚
全てが好き
あれだけ嫌だった
外の生ぬるい風も
薄汚れた景色も
もうみなくていいんだ